大峰早駆 3DAYS SOLO ON SIGHT TRY ③ day2 星鴉


炎天の下をひとり、喘ぎながら進んだ。

2日目。

ファーストパッッキングとはいえ、3日分の荷物が肩に食い込む。

数少ない水場の確認が生命線となる。

太古の辻、ここが奥駆けのターニングポイントになる。
ここで、止めるか、先へ進むか。
ここから先は、エスケープするにも時間がかかる。
今回は偵察でも良い。
弱音の虫が囁いた。
しかし、何かに背中を押され、先へ進んでしまった。


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弥山小屋では、7時間ほどだが2日分の睡眠をしっかり取れたようだ。
また、到着後に、念入りにマッサージジェルを使ってセルフマッサージをおこなったお蔭か、この日は足底等の痛みも無く、一日すこぶる調子が良かった。

ただ、寝る前に、食堂に貼り出している奥駆の全行程図を見ると、あと二日で本宮まで走破できるのか自信が揺らいできた。


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弥山山頂を出発する時はガスの中であったが、15分ほどで隣の八経ヶ岳山頂まで来ると、ぽっかり雲の上に出た。





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ここまで、トータルタイム約16時間、距離にして43.5km。





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ここが近畿最高峰である。

一日天気が良さそうだが、気温が心配だ。
今日はどこまで行けるのか...
行仙宿より先に足を延ばしておきたいが、そこから先は避難小屋は無く、どこかでテン泊となるのだろうか。
そんなことを思いつつ、太古の辻で下山することも、心のどこかで視野に入れてる自分がいる。

八経ヶ岳以南は、登山者はいないと思っていたが、昨夜の雨以降と思われる足跡が有り、明星ヶ岳の手前で追いついた。
割と高齢だが、奥駆に詳しいらしく、本宮までの道のりについて尋ねると、明日までには十分行けるとの太鼓判を押してもらった。
本人は、今日は深仙小屋で泊まり、明日は前鬼に降りるとの事だ。







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明星ヶ岳山頂は、ルートから少しそれたところに有る。
あやうく、スルーしてしまいそうになったが、分かりやすい看板は有る。





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禅師の森付近で、逆方面からの登山者ともすれ違う。
奥駆は、分割で何度も縦走しているらしく、彼もまた詳しいようだ。
彼によると、玉置山以南の最終セクションが予想外に大変だという。
全体的には下り基調であるが、地図では読み取りにくい大小のアップダウンが多く有るらしい。
ここでまた、太古の辻からどうするか迷いが出てきた。






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森に入れば、シダや倒木が目を楽しませてくれる。




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楊枝の森手前では、鈴の音が聞こえてきた。
それは次第に大きくなり、白装束の修験者風の女性に追いついた。
挨拶を交わし、お先に行かせていただいた。






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楊枝ノ森周辺は、バイケイソウの群落が非常に多いが、既にピーク過ぎているようだ。
ちなみに、『楊枝の森』と『楊子の宿』で地図上の漢字の表記が違うが何故なのか。








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明星ヶ岳から孔雀岳の区間は、禅師の森、五鈷峰、楊枝ノ森、仏生ヶ岳等の大小のピークを越えていく。
トウヒ・シラベなどの原生林、バイケイソウの草原、ピーク越えが繰り返しやってくるのだが、全く飽きが来ない。
比較的緩やかな起伏が続くので、テンポの良いペースで進める。






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楊子の宿を過ぎて、仏生ヶ岳の登りにさしかかった頃、ホシガラスが数羽しきりに鳴いていて、枝から枝へ、木から木へ飛び交っていた。

いつしか、この鳥に憧れて、山を走るようになったのか。
稜線の頂から頂きを。
谷を渡り尾根から尾根へ。
這い松やカンバの斜面を飛び交い。
縦横無尽に山々を羽ばたく様に生きたくて。
いつか、ホシガラスになる日が来ると思いながら。





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わりと高山でもよく見かけるヒキガエル。





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孔雀岳手前の『鳥の水』。
今の時期でこれなので、時期によっては枯れているだろう。
とりあえず、ボトル等に満たしておいた。






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孔雀の覗きから、ガスが切れて前鬼の谷の五百羅漢が見下ろせる。





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釈迦ヶ岳が近い。
この辺りから、喘ぐような暑さになってきた。
水分の消費量も増えて来る。




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釈迦ヶ岳のピラミダルな山容が大きくなってくる。






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眼下に見えるのは、北股川だろうか?
地図上ではそう読み取れる。





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この辺りは、岩場も有り少し悪かったような気がする。






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釈迦ヶ岳が、大きく屹立し、行く手に立ちはだかる。
うだるような暑さも有り、気合を入れ直すが、以外にも20分かからず、山頂に抜けた。






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釈迦ヶ岳山頂は、前鬼または旭方面からのハイカーでにぎわっていたので、写真を撮ってもらった。
八経ヶ岳方面からの縦走者はツワモノというイメージが有るのか、いろいろ話しかけられた。






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釈迦ヶ岳から深仙ノ宿へ。
写真は潅頂堂。
この軒下で昼食を作る。
地図上に水場のマークがあるが、付近に水場を示す表示が無い。
水が無いと昼食どころかこの先数時間、この炎天の中、持経ノ宿まで残りの水で持たさなければならない。
ここで、落ち着いて、勘を働かせてみた。
軒下に座り、冷静に周囲を見渡してみると、左手奥の岩壁が気になった。
そちらの方へ行ってみると、草原にかすかに踏み跡が有り、たどってみるとビンゴ。


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美味そうな水が、岩壁の隙間からチョロチョロと流れている。
これで一息ついた。
ふと気づくと、奥駆のターニングポイント『太古の辻』が目の前である。
にもかかわらず、それより先の水の心配をしている。
まあ、とにかく太古の辻へ行こう....
インスタントラーメンで腹を満たし、出発の準備を整えた。

釈迦ヶ岳からこの辺りにかけてはハイカーが多く、昼食を取っている間でも、いくつかのグループが通り過ぎた。
縦走路をそれたところに有る大日岳から、ハイカーの楽しそうな声が聞こえてくる。





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そして太古の辻。





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前鬼には降りない。
躊躇なく進んだ。
何かに背中を押された気がした...

日差しが辛い。
夏が来たのか。

なぜか、子供のころの夏を思い出していた。











by hoshigarasu7 | 2014-08-28 17:39 | trans mt. running | Comments(0)