大峰早駆 3DAYS SOLO ON SIGHT TRY ① day1 一鬼夜行



闇の中をひとり、淡々と進んだ。

初日。

この道を知っているわけでもなく、誘導も無く、サポートも無く、
誰と競いながら共に進むわけでも無く、エイドが有るわけでも無く、時折、ヒメボタルが幻想的に目の前を漂っていた。

そして、ただ前に進みながら払暁を待っていた.....





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2014年7月19日 午前0時30分。

漆黒のトレイルに向けて踏み出す。



タフな3日間がここから始まる。



吉野~金峯山~四寸岩山~二蔵宿小屋~五番関~洞辻茶屋~山上ヶ岳
























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積年の夢、というほどの事ではなかったが、山を始めて約30年。
この山域に入ったのが、山を始めた切っ掛けなだけに、それなりに大峰奥駆道縦走は、この四半世紀の思いの様なものは有ったのだろう。
しかし、この長大かつ険しい行程を普通の縦走スタイルで踏破するには、一週間近くの日程を要するため、極めて遠い憧れとして心の片隅に押し込めていた。










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吉野駅に最終一本前に到着し、駅員さん以外誰もいない待合室で、改めてナイトランの準備を整える。
しばらく、人気の失せた駅前に警察車両が集まり、物々しい雰囲気になってきた。
警察官が1人、改札の方に行き駅員と会話した後、こちらの方に来たので、何が有ったか聞いてみた。
何やら、子供がひとり行方不明になったが、無事帰ってきたらしい。
倉敷の事件の後なので、思うところが有ったが、無事で何よりだ。
ついでに、入山届を受け取ってもらった。
奥駆縦走路について、結構詳しいらしく、装備等いろいろ質問され、奥駆道全縦3日間の行程については半信半疑らしく、
くれぐれも無理をしないように念を押された。

そして、7月19日 午前0時30分、大峰奥駆道3daysソロオンサイトアタックがスタートした。

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吉野の駅を出発し、吉野の夜の町を小走りに駆ける。







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標高も低く、むっとした空気に喘ぎながら、それでも小一時間、街灯の灯りを頼りに楽に進んだ。








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下千本から中千本、そして上千本辺りで町は終わり、最後の自動販売機でスポーツドリンクを補給すれば、街灯も途切れ、漆黒の闇の中へと入って行く。










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ここから先は、夜の闇の中、未知の行程となるので緊張感が高まる。
千本金峯神社までは、まだまだ車道を行くのだが。

ヘッドライトの照射域の外、視界の端に、ちかちか小さな光が点滅した気がした。
気のせいか?
しばらくすると、また....
正体を確かめるべく、ライトを消してみた。

見えた。
林の中。
二つ三つ。
小さく、小刻みに点滅して漂っている。
おそらく、ヒメボタルだろう。






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金峯神社の鳥居をくぐると、いよいよ奥駆のシングルトラックに入っていく。

この辺りから、先日行われたトレランレース『Kobo Trail』の残置マーカーが、大天井ヶ岳付近まで続いていた。
このマーカーテープが、ところどころちぎれ落ちていて、ゴミと化していたため、これらの誘導のマーカー類は、早々に撤去した方が良いのではないかと思ったのだが、この後の夜行で、これらのマーカーにかなり助けられた。



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このころから、霧雨が降り始めたが、レインウエアを着るほどでもなく、かえって涼しく感じるので、良しとした。
その後、青根ヶ峰を越えた辺りで、一度車道に出て、また、道標に従ってトレイルに入ったところが、20分ほど進むとブッシュが酷くなったので、おかしいと思い引き返した。
車道まで戻ると、ガードレールに『Kobo Trail』のマーカーが貼ってあったので、車道を進む。
車道の先で、トレイルが合流してきていた。
先程のブッシュに消えかけた道だろう。
この辺りは、車道を進めばよいのか、トレイルを進めばよいのか、微妙な感じがする。


そして、闇の中を淡々とすすむ。
余計な事を考えると、余計なモノが見えてくるような気がするからだ。
思考を安全に進む事だけに単一化し、森と闇に同化して進もうと試みる。
時折、ヒメボタルが目の端をちらつく。
自分の呼吸だけに意識を研ぎ澄まし、熊鈴の音が進んで行く暗闇の先に消えていく。
次第に、感覚が森と暗闇に溶け込み、獣になったように思えてくる。


その後も、トレイルに入ったり、車道に出たりしているうちに、空が白んできた。
雨は相変わらず、時折ぱらつく程度で、あまり涼しくはない。

四寸岩山はいつの間にか通り過ぎていた。

二蔵宿小屋まで来たが、思ったより行程がはかどっているように思えない。
小屋に入ってみると、宿泊していた登山者が1人、朝食を摂っていた。
昨日吉野から入って、今日は山上ヶ岳まで行って洞川へ下山するらしい。

思ったより進んでいないので、ここから、大天井ヶ岳頂上ルートは割愛し、トラバースルートの在来道を行くことにしたが、勘違いして、水場へのピストンルートへ入ってしまった。
気付いて戻ってくるのに、ここでも小一時間ロスしてしまった。


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在来道は水場が2カ所あり、しっかり補給できた。





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雨もほぼ上がった。






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五番関の女人結界。
そして、いよいよ山上ヶ岳。




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道は緩やかに高度を上げていく。






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鍋かつぎ行者にて。





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ブナ林の美しいプロムナード。
こういう所は、ついついテンションが上がり、足が勝手に動き出す。




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女人結界に入り、こういう石塔が増えてくると、山岳宗教の山であるという事が濃厚になってくる。





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洞辻茶屋。
少し先に、同じように陀羅尼助茶屋が連続する。




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山上ケ岳の宿坊や行場?が見えてきた。




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この辺りまで来ると、修験の山の核心部だけあって、鎖場が連続する。



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遠く稲村ヶ岳も望める。
(三角に突起している山で、今回の奥駆縦走路からは外れている)




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大峰山の山門まで来た。
入山者の誓いを読んで、気持ちだけお賽銭をし、山門に一礼をしてくぐる。




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山上ヶ岳の宿坊群が遠くに望めた。




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鷲ノ巣岩。


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宿坊が数件並んでいる。





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なんという名前だったか、そのうちの一軒に入って休憩させてもらうことにした。
おとないを入れると、宿坊の方が出てきて、『よう、お参り』と、言われた。
ここでの、『いらっしゃい』にあたるのだろうか、一瞬返事に詰まった。
スポーツ飲料を一本をもらい、飲料水について聞くと、余裕が有れば、この先小一時間進めば、小笹宿という所に美味しい湧水が、豊富に流れているらしいので、そこで給水することにした。
この対応していただいた方は、倉敷出身という事で話に花が咲いて尽きないが、今日の行程が有るので、残念ながら早々にお暇した。


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宿坊を出ると青空も出てきた。




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そして、午前9時前、山上ヶ岳山頂。
ここから、これからの進む先を遠望したが、まだ峰々に雲が絡んでいて分かりづらかった。













by hoshigarasu7 | 2014-08-05 13:47 | trans mt. running | Comments(0)